冥王さん

qujila2006-08-26



かつて我々が宇宙を旅したとき、
冥王星は村はずれのお地蔵様でした。
旅人はこの星でこの世界の果てを知り、
そしてまだ見ぬ次の世界を目指したのでした。


しかしある時、村の長老たちは、
このお地蔵様を格下げなさいました。
それはそれでしょうがない部分もあります。
なにしろこのお地蔵様はちっこいし、せいぜい石の塊に、
目と口が彫ってある程度のものだったのです。


けれども未だに宇宙を旅する者たちは、
必ずこの星の前で立ち止まり、
小さな祈りをささげて行くそうです。
もう目も口もなく、ほんとうにただの小さな星になって、
太陽のまわりを回っているこの星を、
まだみんな忘れていないのです。


きっと旅の安全や家族の無事をお願いするのでしょう。


ちょいといい話ですよね。