ぼやき


見上げると、街の中心に見慣れない巨大なタワーが聳え立っていた。
茶色くて、なんだかもやもやと動いているようにも見える。
なんとも不気味な光景だ。


やがてそのタワーはゆっくりと揺れ始めた。
よく見れば、無数の猿たちがしがみついて、皆勝手な方向に揺さぶりをかけている。


地上からは市民たちが喝采を送っている。
「やっちまえー!」
「あともうちょっとだ!」


タワーは大きく傾きだした。


もうすぐあのタワーは市民たちを押しつぶしながら、崩壊していくのだろう。
もちろん猿たちはそれで全然かまわない。
街にはしがみつけそうなタワーがまだたくさんあるのだ。