たまにはモノクロームで


崩壊した王国から静かに黒煙が昇った、あの青空。
やがて人々は戻り、にわか作りの家々の上に大きなビルがそびえた。
王国はかすかなノイズになって街に拡散したのだ、と誰かが言う。
耳を澄ましたって何も聞こえやしない、と誰かが言う。
何かを聞こうとしちゃだめだよ、と誰かが言う。


誰もがすっかり沈黙した朝に、王国はよみがえるのさ、
と誰かが言って、皆は笑った。


王国は二度と戻らないのだ。