森のオオカミ


森の中にまあるい空き地があって、そこにオオカミがいる。
オオカミは動かない。
けれどもオオカミが念じると、世界中のステージがぐるりと回って、新しいやつになる。
その新しいステージの上には森があって、そのまた真ん中にまあるい空き地あって、
今度はそこに僕が立っている。
けれども、僕がいくら念じても、世界のステージはピクリとも動かない。


ぼくは念じる。
頭をしぼって首をねじって念じる。


そうこうしているうちに、とうとう僕はPTAの会長になってしまった。
名古屋の友人に話すと、
「おまえが会長とは、さすがに東京は妙な町だな」
と、簡単にまとめられてしまった。


いいだろういいだろう。
オオカミ君、
今度は僕が君を回す番だ。