ただいま!


南の島に行っておりました。


石垣島はもう初夏でありました。
空と海の狭間で止むことなく沸きあがり続ける緑でありました。
無数に飛び交う蝶の棲家でありました。
雨と太陽の子供たちの島でありました。
そしてそこに住む人々も、
未だその子供たちの一部でありました。


光が眩すぎて風景は何かの影のようでした。
夜の闇は深すぎて、歩いている自分の姿を見ることもできません。
満天の星と、
色を失った緑の放つ、むせかえるような匂いに包まれて、
歩きながら、このままどこかへ落ちていくのじゃないかと何度も思いました。



うーん、お察しのとおり、体は帰宅しても心はまだ旅の途中のようです。
過去、多くの旅人がこいつにやられて討ち死にしてきましたが、
ぼくは大丈夫のはずです。


くじらがいますから。