初夢製造機


あけましておめでとうございます。
今年もくじらブログをよろしくお願いいたします。


さて、
みなさんは鉄人28号をご存じでしょうか?
そして小学生のくせに車を運転したりピストルを撃ったりするクールガイ、
ショウタロウ君をご存じでしょうか?
あのショウタロウ君の持っていたリモコン。
まさにあれだったのです。
ただし鉄人を操作するレバーのかわりに、
3つの大きなボタンがついていました。
ボタンは碁石のような黒に、
これまた碁石のような白で線画が描いてありました。
一番左が富士山、まん中が鷹、そして右になすび。


ぼくはそのリモコンを胸の上に乗せながら眠っていました。
ただし眠りながらも高速で移動していました。
ある時は大草原の上を、ある時は大海原を、
またあるときは大きな都市の上を。
そして、ぼくの上にはただただ青い空が広がるばかりでした。


どれくらい飛んだでしょうか、
遂にそのスイッチを押す時がきました。
まずは富士山のスイッチ。
ポチッ。


ドカーン!
なんと巨大な富士山が僕の上に、つまり地面と平行なかたちに、
いきなり現れたのです。
それはほとんど空をおおい尽くすほどの大きさでした。
鉄人どころではありません。
ぼくは声にならない声を上げました。
しかしそれは今にもぼくの上に落ちてきそうでした。
そうなったら、あっという間にぺちゃんこです。
すぐに鷹のスイッチを押しました。


ドスンというような音をたてて富士山は消え去りました。
鷹は何処?
するとどうでしょう、遥か上空を点のようになった鷹(たぶん)が、
一直線にぼくの足の方へ飛んでいきます。
ツーーー。
でもそれだけです。
鷹ってあんなふうに飛ぶのだろうか?
飛行機かな?
なんか寂しい。

そこですかさずなすびのボタンを押しました。


な、
なにもおこりません。
なんて尻つぼみな。
やっぱりなすびの夢って無理があったのでしょうか。
見るとボタンに描かれたなすびの絵が白から赤に変っていました。
とってつけたような反応です。


ますます寂しいー。



その後もぼくは、リモコンを胸に抱いたまま、
仰向けにいつまでも飛び続けました。